97-情-4

電子化文書の動向に関する調査報告書

1997年3月

社団法人 日本電子工業振興協会


序 文

 わが国の情報産業の基軸となるコンピュータ技術は,近年ますます技術革新の速度を速め,めまぐるしく変貌してきている。このような激動の時代において,真に社会的にインパクトのある技術を見極めることが,重要となってきている。

 このような状況に鑑み,当協会の電子計算機技術委員会・電子化文書動向調査専門委員会では,近年,その動向が注目されている文書の電子化技術に関して,関連企業の将来の電子化文書の動向に係わる意志決定の指針となることを目標に,電子化文書全般の動向,関連規格等について調査研究を行った。

 本報告書は,日本自転車振興会から平成8年度機械工業振興資金補助金の交付を受けて実施した「コンピュータシステムの新技術動向に関する調査研究」のうち,電子情報伝達に関する技術動向について調査した結果をとりまとめたものである。

 調査の実施に当たって,ご援助,ご協力頂いた関係官庁,関係各位ならびに直接労を賜った委員各位に深く感謝の意を表するとともに,この報告書が各方面に広く利用され,わが国の情報産業の発展に寄与することを念願する次第である。

                        平成9年3月
                          社団法人 日本電子工業振興協会
                            会 長  金 井  務


電子計算機技術委員会委員名簿
                      (敬称略・順不同)
委 員 長  田 中 英 彦  東京大学
委   員  棟 上 昭 男  情報処理振興事業協会
  〃    飯 塚   肇  成蹊大学
  〃    古 谷 立 美  東邦大学
  〃    小此木   隆  沖電気工業(株)
  〃    徳 永 威 久  日本電気(株)
  〃    小 林   允  日本ユニシス(株)
  〃    日 野 正 史  (株)日立製作所
  〃    佐 薙   充  富士通(株)
  〃    塚 田 啓 一  松下電器産業(株)
  〃    肥田木   誠  三菱電機(株)
  〃    奥 山 一 幸  (株)東芝
  〃    小 林 龍 生  (株)ジャストシステム
事 務 局  樋 口 和 雄  (社)日本電子工業振興協会
  〃    宮 川 孝次郎  (社)日本電子工業振興協会


電子化文書動向調査専門委員会名簿
                      (敬称略・順不同)
委 員 長  小 林  龍 生  (株)ジャストシステム
幹   事  岸    和 孝  (株)ぷらんにんぐ・とうわ
委   員  真 野  芳 久  南山大学
  〃    見 城  武 秀  成蹊大学
  〃    畑 山  佳 紀  三洋電機(株)
  〃    栗 田  雅 芳  (株)東芝
  〃    篠 崎  雅 英  日本アイ・ビー・エム(株)
  〃    山 口    琢  (株)日立製作所
  〃    伊 串  亮 二  三菱電機(株)
  〃    松 本    恵  日本アビオニクス(株)
  〃    鈴 木    明  神鋼電機(株)
  〃    秋 本  綾 子  横河電機(株)
  〃    岡 野  道太郎  (株)管理工学研究所
  〃    大 野  邦 夫  INSエンジニアリング(株)
事 務 局  宮 川  孝次郎  (社)日本電子工業振興協会


目 次

第1章 総論

 1.1 規格の社会学への視座

  1.1.1 「役割」という視点の導入
  1.1.2 どのような役割があるか ─ 作る,使う,そして,かつぐ ─
  1.1.3 役割に注目した分析
  1.1.4 役割による分析の具体例
  1.1.5 まとめ

 1.2 近年の電子化文書の動向

  1.2.1 HTML
  1.2.2 XML
  1.2.3 VRML
  1.2.4 Java
  1.2.5 JavaScript/JScript
  1.2.6 複合ドキュメント関連(構造記述)
  1.2.7 エージェント関連技術の動向について
  1.2.8 レイアウト系電子化文書
  1.2.9 まとめ

第2章 ISO 10646(UCS)とUnicode

 2.1 はじめに − この章の登場人物

 2.2 ISO 10646とUnicodeの歴史

  2.2.1 7ビットから8ビットへ(ヨーロッパの動向)
  2.2.2 ISO内部(SC2)でのマルチバイト化の動向
  2.2.3 Unified Han(UnicodeとACCCの動き)
  2.2.4 SC2とUnicode Consortiumのせめぎ合い
  2.2.5 Unicodeとのマージ
  2.2.6 ISO 10646の成立

 2.3 さまざまな登場人物

  2.3.1 ISO対Unicode Consortium
  2.3.2 国と地域
  2.3.3 規格を使う人の広がり
  2.3.4 ものを作る人の中での対立

 2.4 企業における標準規格への寄与

第3章 SGML

 3.1 概要

  3.1.1 導入の現状

 3.2 データベースと入力

  3.2.1 文書データベース
  3.2.2 入力の問題

 3.3 CALS

 3.4 SGMLの応用

 3.5 「作る人」「かつぐ人」「使う人」

  3.5.1 規格
  3.5.2 ベンダ
  3.5.3 ユーザー
  3.5.4 SGMLへの欲求

 3.6 まとめ

第4章 電子文書フォーマット変換

 4.1 概要

 4.2 開発者の点からみた文書交換の現状

 4.3 エンドユーザーの点から見た文書変換の現状

 4.4 規格を定める側の点からみた文書変換の現状

 4.5 現状と問題点のまとめ

 4.6 将来予測

 4.7 標準フォーマット制定に対する提言

第5章 ロータスノーツ

 5.1 はじめに

 5.2 ノーツの歴史

  5.2.1 ノーツの誕生
  5.2.2 遊び道具からビジネスソフトへ
  5.2.3 ノーツ普及のきっかけ
  5.2.4 変えずに変える

 5.3 近年の動向

  5.3.1 プラットフォームとしてのノーツ
  5.3.2 インターネットとの融合

 5.4 ノーツに関わった人々

  5.4.1 初期の登場人物
  5.4.2 近年の登場人物
  5.4.3 「かつぐ人」の目的意識

 5.5 デファクトとは

第6章 MIDI

 6.1 はじめに

 6.2 MIDI規格の成立過程

  6.2.1 MIDI規格作成時の電子楽器の状況
  6.2.2 MIDIの成立
  6.2.3 GM
  6.2.4 SMF

 6.3 MIDIの利用分野

  6.3.1 プロフェッショナルユース
  6.3.2 DTM
  6.3.3 カラオケ
  6.3.4 電子ピアノ

 6.4 まとめ

第7章 まとめ −「エンドユーザー」という「役割」

 7.1 「役割」という視点の導入

 7.2 「役割」という視点の意義

 7.3 「エンドユーザー」という役割

 7.4 「作る人」「担ぐ人」から見る「エンドユーザー」

 7.5 「エンドユーザー」自身

付論 報告書等のネットワーク公開へ向けて

 1 報告書公開の新しい方法

 2 本報告書の制作手順

 3 原稿データの問題

 4 ワンソース・マルチメディアへのアプローチ

 5 本委員会における原稿執筆要領とSGML文書型定義

(c)1995 JEIDA